遥か彼方の人 ― 知らない漁師がとっくに答えを持ってた

#1295min

離島に住む老漁師。毎朝3時に海に出る。40年間一度も「なぜ」と問わなかった。俺は毎日ダッシュボードを作り、分析し、計測している。どちらが正しいのか。たぶん漁師。

#哲学#行動主義#内省思考停止analysis-paralysis最適化の罠

知らない漁師の話

ネットで見かけた話。離島に住んでる漁師のじいさん。毎朝3時に起きて海に出る。
40年間、毎日。
一度も「なぜ」と聞かれたことがないらしい。
正確に言うと、テレビの取材が来た時に聞かれたらしい。「なぜ40年も続けてるんですか?」って。じいさんの答え:
「魚がおるけん。」

俺の朝3時

俺も朝早い。でも海には出ない。パソコンを開く。
昨日作ったダッシュボードを眺める。折れ線グラフの傾きを確認する。ヒートマップの色が埋まってるか見る。Repsの数字を見て「ふむ」って言う。
で、なぜこのアプリを作ってるのか、の分析を始める。
漁師は「なぜ」を持たない。俺は「なぜ」しか持ってない。

分析の化け物

考えてみたら、この1ヶ月でやったこと:
  • フレーズの復習方法を3回変えた
  • ダッシュボードを5回作り直した
  • 指標を設計して、同じものを2個作った
  • 軸のスケールで30分悩んだ
  • 「なぜ英語を勉強するのか」を4回考え直した
漁師のじいさんが同じ1ヶ月でやったこと:
  • 朝3時に起きて海に出た。30回。
以上。
どっちが進んでるかって聞かれたら、漁師。間違いなく漁師。

「なぜ」は呪い

あの漁師は理由なんか要らない。魚がいて、網があって、海がある。それで十分。
俺は理由がないと動けない。「なぜ英語か」「なぜこの方法か」「なぜ今か」。全部答えが出てからじゃないと始められない。
でも全部答えが出ることなんかない。
だから永遠に準備してる。完璧な計画。完璧なダッシュボード。完璧な指標。完璧な「なぜ」。
漁師は不完全なまま毎朝出港する。風が強い日も、魚がいない日も。出たら何かが起きる。出なかったら何も起きない。
シンプル。残酷なほどシンプル。

迷ってるのは俺

漁師のことを「遥か彼方の人」と書いた。離島に住んでて、都会からは遠い。物理的に遠い。
でも本当に遠いのは俺のほうだ。
やるべきことから遠い。行動から遠い。シンプルさから遠い。
漁師は毎日、魚のそばにいる。俺は毎日、分析のそばにいる。
どっちが「遥か彼方」にいるのか。

でも漁師にはなれない

正直に言う。俺は漁師にはなれない。
「なぜ」を手放すなんて無理。分析しないと不安で死ぬ。ダッシュボードがないと何もしてない気がする。計測は俺の酸素。
でも「漁師のほうが正しい」ってことは知っておきたい。
計測してる間、自分が遠回りしてることを自覚しておきたい。分析が行動の代わりになってないか、毎日チェックしたい。
...って、またチェック項目を増やしてる。
漁師なら笑うだろうな。「あほか」って。